有期契約職員の無期転換における定年制について
表題の件について質問失礼いたします。
弊法人の就業規則には、有期契約職員の無期転換に備えて、現状以下の定年制度が設けられております。
65歳未満 満65歳に達した日の属する年度の末日
65歳以上70歳未満 満70歳に達した日の属する年度の末日
ただ、弊法人の場合、70歳以上の高齢の職員の割合も多いため、新たに以下の定年を追加すべきか議論がなされております。
70歳以上75歳未満 満75歳に達した日の属する年度の末日
75歳以上80歳未満 満80歳に達した日の属する年度の末日
仮の上記を設定した場合、定年の数がかなり増えてしまいますが、就業規則上何か問題が生じてしまいますでしょうか。
ご回答よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/19 07:51 ID:QA-0152476
- アストラエルさん
- 東京都/医療・福祉関連(企業規模 101~300人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、定年を複数設定される事について法令上問題はございません。
但し、無期雇用されても健康面等で就労困難になれば契約終了される事は可能ですので、余り高年齢での設定については現実問題としまして必要性は乏しいともいえるでしょう。
投稿日:2025/05/19 09:48 ID:QA-0152488
相談者より
ご回答ありがとうございます。
仰る通り、健康面で就労が難しい場合は話し合いの上、契約の終了も考えておりましたので。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/05/19 10:39 ID:QA-0152493大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
まず、定年制の設定を複数持つことは法令上に抵触するものではありませんので、
貴社でご判断いただいて構わない問題です。
なお、高齢者の場合、健康上の理由で通常の役務の提供が困難となるケースが
多々、想定されますので、契約の更新条件につきましては、出来る限り詳細に
会社規程内でも定めておきませんと、労務トラブルに発展いたしますので、
ご留意ください。
投稿日:2025/05/19 10:26 ID:QA-0152491
相談者より
ご回答ありがとうございました。
詳細も詰めておきたいと思います。
投稿日:2025/05/19 11:03 ID:QA-0152497大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
就業規則上、70歳以降の定年段階を追加すること自体に法的な問題はありません。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1. 結論(要点)
就業規則上、70歳以降の定年段階を追加すること自体に法的な問題はありません。ただし、「定年制度が複雑になることでの運用リスク」や、「実質的に“定年延長”と見なされる可能性」などには注意が必要です。
2.法的観点からの検討
(1) 定年年齢の設定に関する法的制限は?
労働基準法では「定年を定めることは可能」ですが、「60歳未満の定年は禁止」(労基法第81条)とされています。一方で、70歳以降の定年設定については、法律上の上限はなく、企業が自由に設定可能です。よって、70歳以上75歳未満、75歳以上80歳未満という区分を定めても、法令違反にはなりません。
3.実務上の懸念・課題
(1) 定年制度が複雑化し、運用負担が増える可能性
年齢ごとに細分化された定年制度は、人事・労務管理の煩雑さや、職員への説明責任の難しさを招くおそれがあります。定年退職の管理(退職時期の把握、通知、再契約など)が年齢ごとに異なるため、実務負担が重くなります。
(2)「再雇用」制度や「定年延長」との整合性が必要
高齢者雇用安定法の改正により、企業は70歳までの就業機会確保が努力義務(2021年4月~)とされています。現在の就業規則で「65歳定年」→「70歳まで契約更新」としているなら、その枠組みとの整合性をとる必要があります。定年後再雇用との混同が起きる可能性があり、「定年は70歳」「70歳以降は再雇用」と明確に分けた方が一般的です。
(3) 無期転換ルールとの関連
有期契約職員で、5年を超えて契約が更新されると、無期転換権が発生します(労契法第18条)。このとき、「定年による雇止め」は無期転換権を阻止する正当な理由になり得ますが、不明確な定年制度はトラブルの元です。
4. よりシンプルな代替案(例)
下記のように、「上限年齢制の明示」で対応する方法もあります。
例:就業規則の定年条文案
第〇条(定年)
1. 職員の定年は、満65歳に達した日の属する年度の末日とする。
2. ただし、業務上必要と認められ、本人が希望する場合は、契約更新により70歳まで継続雇用を認める。
3. 70歳以降も同様に、法人が認める場合に限り、最長80歳の年度末まで契約更新を行うことができる。
これにより「定年の段階的追加」ではなく、「上限年齢を明示した再雇用制度」として整理できます。
5,まとめ
観点→コメント
法的な問題→年齢ごとの定年設定は問題なし(法違反ではない)
実務的懸念→制度の煩雑化、説明責任、労務管理負担
推奨対応→「再雇用・契約更新上限」形式での整理が望ましい
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/05/19 11:35 ID:QA-0152503
相談者より
ご回答ありがとうございました。
参考にさせていただきます。
投稿日:2025/05/19 13:33 ID:QA-0152511大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
特に問題はありませんが、
70歳以上の方というのが、
70歳未満から雇用している方は対象外となりますので、ご留意ください。
投稿日:2025/05/19 12:36 ID:QA-0152508
相談者より
ご回答ありがとうございます。
「70歳以上の方というのが、70歳未満から雇用している方は対象外となりますので、ご留意ください」
について、一点質問失礼いたします。
言葉が足りなかったのですが、無期労働契約への転換後の契約の初日が属する日が70歳以上75歳未満の場合、満75歳に達した日の属する年度の末日が定年となるという意味なのですが、こちら問題があるということでしょうか。
投稿日:2025/05/19 13:33 ID:QA-0152510大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
終業規則上は何も問題はなく、複数パターンを設けても差し支えはございません。
ですが、70歳を過ぎて、あるいは75歳を過ぎての雇用継続となれば、高齢によるパフォーマンスの低下は避けられず、さらに健康状態によっては就労が困難になる可能性もあり、実効性に乏しいといわざるを得ません。
投稿日:2025/05/20 08:01 ID:QA-0152537
プロフェッショナルからの回答
ご相談内容について回答いたします
有期契約職員の無期転換に備えて、複数段階の定年制を導入することについては、基本的に問題はありません。
無期転換した時点での年齢区分により定年年齢を定めているという建付けであれば適正な運用であると考えます。
ただし、定年年齢の段階が増えるほど、管理が煩雑になるため、御社の負担が増えることが懸念点となります。
投稿日:2025/05/20 23:26 ID:QA-0152593
相談者より
ご回答ありがとうございました。
投稿日:2025/05/22 08:04 ID:QA-0152704大変参考になった
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